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また、恋してくれますか。

第26章 〜番外編その3〜


『え?なんで』と呟く家康に

『貴様、いい歳をしながら泣いておったか?』

『はっ?そんなわけないでしょ?』と
目を擦る家康に

『わからんでもないがな・・・
わしも、それを見て目頭が熱くなった』
と、家康に隣に座り杯を手渡し
酒をを注いだ。

自分は、手酌で酒を注ぎながら

『鷹山は、家族思いの子煩悩ないい父親だった
奥方も2、3度しか会ったことはないが
思慮深く、控え目な女子だった。』

『そうですね・・俺にとっては尊敬する
父のように思ってましたよ。
3歳で人質になって、実の父母の記憶は
ないに等しかったですから・・
鷹山殿だけが、今川側の人間で
唯一、信頼できる人でした・・・』

『あやつは、優しいからのう。
いつもいつも、民や弱き立場の者の事しか考えて
居らんような男だった。だからどうしても
わしの右腕として欲しかったが
あの日、救えなかった・・・』

『でも、桜奈を救ってくれました・・』

『ふっ、まんまと貴様に持って行かれたがな』
と月を見上げ笑った。

『俺は、ずっと不安だった。
あっという間に、一人で逝ってしまった
桜奈は、本当に俺といて幸せだったのか
俺は、桜奈を幸せにしてやれたのかって
でも、手放すことも離れることも
考えられなかった・・・自分の気持ちだけ
押しつけてたような気がして・・・』

写真に視線を落とし、桜奈を見つめる
家康は、桜奈の隣に立つ
自分と似ている男をやっと視界に捉え

『あっ・・・』と小さく驚く。
(政宗さんが言ってたのは、こいつか・・
似てる・・・か?来世の俺?)
似ているような気もするが
自分では、自分に似ているかの
判断はつかず、考え込むように
じっと見つめた。

ただ、桜奈もその男も
穏やかに微笑み、よく見ると
二人の手は微かに触れ合っている
ように見える。

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