第26章 〜番外編その3〜
『だって、お前も見ただろ?栞の向こうの
家族の絵姿・・写真?だっけ?
あれに、お前の絵姿もあっただろう?』
(栞に先に渡されて、見てたのに
桜奈しか見てなかったんだろ、どうせ・・)
と思う政宗。
『はっ?そんなの見てない。
俺が貰ったのは、栞の妹の絵姿だけだけど』
『えっ?』と栞を見る政宗。
『ん?』と見返す栞だったが
思い起こし、そう言えば家康には
桜奈の写真しか見せていなかったと
思い出した。
『ああっ!そうか、そうだった。』
と、懐から布に包まれた写真を
取り出して
『はい、これ!政宗達に見せたのは、こっちよ。
これは、私の両親と妹の写真だけど
桜奈の横にいるのって
自分だと思わない?』と手渡した。
手渡された写真を見て、また目を見開く
家康。
釘付けになったのは
栞の両親の姿だった。
『鷹山殿と奥方様?・・・』
栞の家族を見た瞬間に、全てが
繋がったような気がして
目頭が熱くなる。
(ダメだ、泣くわけには・・・)
家康は、突然スクッと立ち上がると
『ちょっと、酔いを冷ましてくる』と
写真を持ったまま
スタスタと廊下へと向かった。
『えっ、家康、どこ行くのよ!』と
追いかけようとする、栞を
信長が呼び止めた
『栞、放っておいてやれ・・』
『えっ、でも・・・』と心配そうな
顔で引き留めた信長をみたが
『大事ない、後でわしが行く』と答えた。
酔い覚ましといいながら
月明かりの下、写真を眺めては
目頭を抑える家康。
(そうか・・・栞の言ってることは
間違いじゃないんだ、あんたは間違いなく
桜奈だったんだな・・・
また、鷹山殿の娘として生まれ変わったのか?)
心の中でそう呟いていると
人の気配を感じ
パッと振り向いた。
見ると、信長が酒をもって
自分の方へ向かってきていた。