第26章 〜番外編その3〜
その後、栞が戻ってきた
宴会が開かれた。
家康も宴会には参加していたが
栞の目からは元気のないように見えて
気になった。
(桜奈さんを思い出して
寂しくなったのかなぁ・・・)
そうして、栞も喜んでもらえると
思った意気込みは、急速に萎み
返って辛い気分にさせたのではないかと
浮かない表情になっていた。
栞の隣で、杯を口に運びながら
表情の変化を見逃さない信長は
『気になるか?』とボソっと呟きながら
杯を空にした。
『えっ?はい?何が?』
無意識で家康を眺めていた栞は
突然、声をかけられて
ハッとして、自分が見られていたのだと
察した。
信長の杯にお酌をしながら
『なんか、元気ないんですもん。
喜んでくれると思ったけど
もしかしたら、余計なことだったかな・・
会えるわけじゃないから・・・』
栞自身は、生まれ変わりと信じて疑わない
妹としての桜奈に会うことができた。
でも、いくら顔や雰囲気が似ていても
会わなければ、確信するのは難しい。
他人の空似を生まれ変わりと
思い込んでいるだけと思われても
栞に証明する術はないのだ。
『そう言えば、来世の家康にもあったのだろ?
あやつらは、また恋仲になったのか?』
『うん。やっとね。でも妹が言ってよ・・
会った瞬間、見つけたって思ったって。
家康君・・・来世の家康ね、たぶんだけど・・
その家康君も同じような感覚だったんだって
ずっと会いたくて探してた人をやっと
見つけたような感覚だったらしい・・・』
『ほう・・そうか・・
家康は、きっと貴様の話を
疑っているわけではなかろう。
そして、桜奈の願いが叶った事も
喜んでいるもいるはずだ・・・
それでも、今はまだ気持ちが
追いつかないのであろう・・』