第26章 〜番外編その3〜
『北条?』
(桜奈の教科書にあったな。
天下統一への最後の障壁みたいに言ってた
気がするけど・・・)
『うむ、この一件が片付けば
名実共に、天下統一となる。
が、しかし北条め、穏便に済ましてやろうと
思うておったのに、どうやら口で言っても
分からんらしい・・・』と
ニヤッとした信長の笑みは
ゾクっとするほど冷ややかで
背筋が冷たくなるようだった。
(また、戦になるの?・・そうか、ここは
戦国時代だ・・当たり前だけど・・
でも、やっぱり戦は嫌だな・・・)
俯き、不安な顔をする栞に
『案ずる事はない、早々に片は付く。
そうすれば、凛桜と秀忠の縁談話も
元に戻る』
『えっ?』と信長の顔を見る栞。
北条と凛桜の破談に何の関係があるのか
皆目見当のつかなかった。
『北条と凛桜の縁談に何の関係が?
信長様が凛桜をお嫁に出したく
なくて、ごねてただけじゃないんですか?』
そう、栞は本気でそう思っていたのだ。
溺愛する娘が年頃になり、婚姻が現実に
なったことに焦って、強引に破談にしようと
してるだけだと。
キョトンとしながら、そう語る栞に
はっーと、ため息をつく信長と秀吉。
クックックと肩を揺らし、笑いを堪える光秀。
『やっぱ、単純。』と呆れる家康と
苦笑いの佐助。
『やはりな、そんなことだとは思うて
おったが、いくらわしでも娘の気持ちを
無碍にするわけなかろう?馬鹿者が。』と
コツンと栞のおでこを突く信長。
『・・っ』とおでこをさすりながら
それでも、意図が全く読めない栞。
『だって、他に理由があるなら
ちゃんと説明してくれたら、いいじゃ
ないですか?』
(理由も分からないのに、反対とか言っても
娘を、取られたくないからとしか
思わないじゃん!)と、不満気に口が
への字になって行く栞。