第26章 〜番外編その3〜
ホテルに戻ってから、レストランで
1日早い桜奈誕生日会が開かれた。
誕生日ケーキが目の前に置かれたると
ぱぁっと、嬉しいそうに満面の笑みを
浮かべる桜奈。
一気に蝋燭を吹き消すと
拍手とともに、『お誕生日おめでとう桜奈』
と、声をかけられる。
家康からも『誕生日おめでとう!』と
言ってもらえた。
栞に祝ってもらえる、最初で最後の
誕生日。
家康と付き合ってから、初めて祝って
もらう誕生日。
17歳の誕生日は、1日だけ早かったが
桜奈には生涯、忘れられない
誕生日になった。
栞からは、着物を仕立ててもらい
両親からは、着物に必要な
帯や、帯留め、草履等の一式を
プレゼントされた。
家康も『これ、俺から』と
箱を桜奈の前におくと
箱の隣に
『あと、こっちは一緒に京都にきた記念に』
と小さな袋をちょこんとおいた。
一緒に旅行に来れただけで、舞い上がり
誕生日プレゼントなど、思っても
いなかった桜奈は
『えっ、私に?ほんとに!』と驚いたが
『気にいって、くれるといいけど』
と少し、自信なさげに微笑む家康。
『開けてみていいですか?』
と言う桜奈にコクっと頷く家康。
まずは、箱の小さなリボンの付いた
包装を外し、箱を開けると
ネックレスだった。
プラチナチェーンに大小のハートが
寄り添う様に重なり合い、大きいハートの
中央には、小さなピンクダイヤが揺れていた。
揺れるダイヤに見惚れながら
『か、可愛い・・・』ため息混じりで
うっとりするように呟く桜奈。
それから、とびきり嬉しそうな顔をして
家康を見ると
『ありがとうございます!大切にします』と
言うと、またネックレスを目の前にかざし
うわぁーと言う表情で目を輝かせた。
『桜奈、良かったわね!
素敵なネックレスもらって。
家康君、桜奈の為にありがとうね』
と、お礼を言う千里。
『いえ、気に入ってくれて
良かったです』と遠慮がち家康は答えた。