• テキストサイズ

また、恋してくれますか。

第26章 〜番外編その3〜


微かに目を潤ませながらも
晴々とした、穏やかな顔で
目に染みるほどの、紅葉を見上げる家康。

(また、幸せにしてみせるよ。
いや、一緒に幸せになろう!)

一緒に紅葉を見上げる桜奈を
みて『ね!』とだけ呟いた。

突然、『ね!』とだけ呟かれ
『ね?』とキョトンとする桜奈に

『ね!は、ねだよ』とクスッとする家康。

ますます、訳がわからず
訝しげな顔しながら
『ね!ってなんですか?意味わかんない
ですけどー』と、尋ねる桜奈に

『さっ、おじさん達のところに行こうか!』と
身を翻し歩き出す家康。

『あっ、待って下さいよ。ねって何?
根っこのこと?えー?なんですか?気に
なりますよー』眉間にしわを寄せながら
不服そうに後を追いかけてくる桜奈。

追いかける桜奈を尻目に
クスクスしながら歩く家康だったが
ふっと振り向くと、優しい笑みを浮かべ
(一緒に幸せになろうね、の『ね』だよ。
桜奈、今度こそずっとずっと
俺の側にいて・・)そう心で呟き
桜奈に手を伸ばす。

差し出された手に、不服そうな顔から
一転して、満面の笑みになる桜奈は
家康の手をとり
『一緒にいきましょう・・『ね!』』と
と強調する。

分かってはいなくとも、伝わっていると
感じる家康。

ふわりと笑みを浮かべ、繋いだ手をぎゅっと
握り締めながら
『そうだね、ずっと一緒に・・・ね!』

この手は、もう二度と離さない
家康はしっかりと繋いだ手に静かな
誓いも込めた。

お互いの存在を、確認するように
どちらからともなく微笑み合う二人。

風に揺れ騒めく紅葉の葉。
木漏れ日がキラキラと二人に降り注ぐ
アーチの中を二人は並んで歩き始める。

/ 978ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp