第26章 〜番外編その3〜
裁縫は苦手と言いながらも
元々の器用さも手伝って、桜奈は
すっかり裁縫に嵌っていた。
何かを作り上げて行く作業もワクワクするし
それが出来上がれば、達成感もある。
何より、誰かの喜ぶ顔を想像すると
俄然やる気が満ちて、自分まで幸せになれる。
桜奈にとっては、裁縫もスイーツ作りと
似た感覚になる楽しさに気づいたのだった。
ひと針ひと針、栞も桜奈も
使ってくれる人の喜ぶ顔を思い浮かべ
黙々と作業して行った。
刺繍が楽しくなってしまった桜奈は
あっという間に、仕上げてしまった。
裁縫の楽しさに目覚めた桜奈は
巾着袋にチャームがわりに
フェルトで、小さな人形をつくって
ぶら下げることにした。
栞から、戦国時代の桜奈が
送られた着物に似せて刺繍を入れ
着物をきた女の子の人形。
(桜奈さんは、凄く美人だって
お姉ちゃん言ってだけど・・・うーん・・)
出来上がった人形を眺めながら
納得いかないような気もしたが
(まっ、可愛くできたから、いっか!
喜んでくれるといいな・・)と
戦国時代の家康がどんな風に
受け取ってくれるのかと、巾着をみた瞬間の
顔を想像した。
もちろん、実物は知らないので
現代の家康が、代役で想像上に登場し
(ありがとう、大事にするね)と
ふわりと笑う姿に、『///いや〜♡///』と
一人で照れたりもした。