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また、恋してくれますか。

第26章 〜番外編その3〜


親子4人の、ささやかな一家団欒。

微笑み合う姿は、ありふれた家族の
姿そのものでも、上杉家にとっては
もう、この先二度とは巡っては来ない
貴重な時間。

だが、それぞれの幸せだけを願う
上杉家に悲壮感はもうない。

たとえ、今生の別れとなったとしても
幸せに生きていってくれると
信じられることが、会えなくなる寂しさを
癒してくれる。

頬を触りながら、じゃれ合う娘二人を
愛おしそうに見つめる鷹介と千里。

二人にとっても、これほど幸せな時を
過ごせるなど、栞を失った日以来
夢にも思っていなかった。

今度は、笑って『いってらっしゃい』と
見送る機会を与えてもらえた事を
誰にと言うわけではないが
目には見えないものの計らいの
ような気がして、感謝する二人。

それから、ふっと思い出したように
『あっ、そうだった。桜奈の誕生日
なんだけどね、せっかくだから家康君も
誘ってみたらどうかな?
都合聞いてみて欲しいんだけど
お願いできる?』と言う鷹介の提案に

『えっ?』と驚きながら
(家康さんと、旅行?!)と
思った瞬間、ぱぁっとこの日1番の
明るい顔しながら

『本当に!?家康さんを誘ってもいいの?』
と、弾んだ声で確認したが、鷹介も千里も
コクッと頷くと、満面の笑みを見せた。

(やったー!)
小さなガッツポーズをしながら
『よっしゃ!』と小さく呟くと

『あっ、じゃ早速、電話してみるね!』と
また、自室に行ってしまった。

『今じゃなくてもいいよ・・・』と
呟いた鷹介の声が聞こえるはずもなく・・・
桜奈の後ろ姿に手を伸ばしたが

『いいのよ、鷹介さん、今がいいの。』
とクスッとした。

『ん?』と意味の掴めずにいる鷹介に

『だね、なんだろうねー
さっき会って別れたばかりなのに
もう、会いたいとか
電話切ったばっかりなのに
またすぐ声聞きたくなるってやつよ
いいわねー、青春だわ』と解説する栞。

そして、また、桜奈待ちになった三人は
ほのぼのした気持ちになりながら
家康の返事を待つことにした。
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