第26章 〜番外編その3〜
心配する両親をよそに
『大丈夫よ。私の帰る場所も
帰りたい場所も、一つだけだから。
必ず戻れるって信じてるしね。
それに、佐助君も私と信長様の
いるところに、開くっていってたし。
なんて言うか、私専用ワームホールって
感じよね』とクスクス笑う栞。
もともと、楽観的な性格も手伝って
栞本人は、全く不安などなさそうだった。
ただ、強いて言うなら、ワームホールが
開かなかったらどうしようと言う不安はあった。
(佐助君が前に言った通りなら
信長様も同じ場所と時刻に本能寺に
来てくれなければ、きっと開かない。
勝手をした、私なんてもう必要ないって
思われてたら、もうきっと戻れない
んだよね・・・)
あまり考えないようにしていたが
だんだんと不安が募って行く。
雑念を振り払うように、フルフルと首を振り
(大丈夫、だってあの思い出の場所に
ちゃんと迎えに来てくれたもの・・・)
そう自分にいい聞かせて
信じることにした栞。
『もう、お嫁に出したようなものだものね。
栞にとっては、もう嫁ぎ先が我が家に
なったのね・・・』
感慨深げに、そう呟く千里。
『そうなんだろうね。でも僕らの大切な
娘には変わりないから、親としての
心配は、勝手にさせてくれ。
どこにいても、何をしていても
栞の幸せだけを祈ってるから』
穏やかな笑みを浮かべながら
そう言ってくれる鷹介。
『ママも一緒よ』と千里も賛同した。
どんな思いで、そう言ってくれているのか
同じ親となったいまなら、よく分かる。
『ありがとう、パパ、ママ』
栞もまた、有難い気持ちに胸が熱くなる。
そんな、ほのぼのしてる三人のところへ
桜奈が戻って来た。