第26章 〜番外編その3〜
千里に背中を押されたような
気がして、救われる家康は
感謝に胸が震える。
涙が出そうになるのを堪えながら
『ありがとうございます。
そうさせてもらいます。』と
深々と頭を下げた。
それから、嬉しさの勢いをかりて
意を決したように、鷹介や千里を見つめ
『おじさん、おばさん、お願いがあります。
もし、桜奈ちゃんが承諾してくれたら
桜奈ちゃんとのお付き合いを
許しもらえないでしょうか!
宜しくお願いします』
そう言って、また頭を下げる家康だったが
(俺も必死すぎだ・・)と
自分の行動に、自分が驚いてもいた。
一瞬、驚きながら、その後すぐに
安堵とともに、ニコニコする
上杉家の面々。
(ヘタレたかと思ったが・・・
もう、腹は括ったようだな。
それなら・・協力してやらないとな・・・)
鷹介達の表情を見れば、家康の気持ちは
受け入れてもらえたのだと分かった。
『不束な弟へのお気遣い、痛み入ります。』
そう言うと、信長も頭を下げた。
『それで、もし良ければ、桜奈さんを
夕食にお誘いしたいのですが、宜しい
でしょうか?帰りはきちんと送り届けます。
本人から桜奈さんに事情を
伝える機会を頂けないかと思いまして。』
『分かりました。桜奈が了承すれば
私達は、構いません。』そう返事をする鷹介。
それから家康に
『家康君、桜奈を頼んだよ』
娘を持って行かれる気分には
変わりはなかったが、その寂しさより
ここ数日の桜奈を見てる方が
鷹介には辛かった。
それに、信頼をおく家康なら仕方がないと
言う諦めもあった。