第26章 〜番外編その3〜
ただ、栞も両親と同じように
桜奈が自分の力で乗り越えて
くれると信じつつも
二人が離れ離れの人生を歩むことは
ただひたすら、残念でならなかった。
(やっぱり、婚約は軽はずみな気持ちで
してたわけじゃないんだね・・・家康なら
当然かぁ・・・)
家康の信念を通そうとする強さなら
身近で見てきて誰より分かっていた。
現代の家康もきっと、本質はそう言う
人なんだろうと言うことも。
覆ることはないのだと、諦めのような
気持ちになっていた栞は
信長の次の話に、耳を疑った。
『褒めて頂いたのに恐縮なんですが
昨日、その婚約が破談になりまして・・・』
上杉家一同『はっ?』と言う顔をして
信長と家康を交互に見て、ポカンとしてしまう。
桜奈の為にもきちんとした
理由が聞きたかった鷹介は
『えっと・・その理由は聞いても
大丈夫かな?』と尋ねた。
『勿論です。そのご報告も兼ねて
今日は伺ったようなものですから・・』
そう言って話始めた信長。
小夏には元々婚約者がいたが
不自由になった身体に引け目を
感じ自ら身を引いたこと。
しかし相手方は、婚約解消したつもりは
全くなく、再会し話し合った結果
お互いの気持ちを確認できたことで
元の鞘に丸く収まることに
なったのだと告げた。
家康も自分のせいで、婚約解消した
小夏を一人にはできない思いに駆られて
婚約をゴリ押ししたが、小夏にとって
一番大切な人が側にいてくれることに
安堵して、婚約者解消に至ったのだと
補足したのだった。
それを聞いた、栞は両手を上げて
やったー!!と叫びたいくらいだった。
(良かったね!桜奈。
やっぱり、、間違いなく運命の人だったよ。
本当に良かった・・・)