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また、恋してくれますか。

第26章 〜番外編その3〜


『いえ、こちらこそ
本当に良くしてもらって
ありがとうございました。
お世話になりました』

そう言って頭を下げる家康。

一通りの挨拶を終えて、それぞれの近況や
昔話に花が咲いた。

そんな中で、信長が家康の婚約の話を
切り出した。

『身内のことで恐縮ですが、上杉さんは
父の親友でもあるので、弟の婚約の話は
ご存知かと思います。
まぁ、元々は、自分を庇って怪我をした
従姉妹への責任感から弟がどうしてもと
婚約した形だったんです』

『うん、お父さんからはそう聞いてます。
責任感の強い家康君らしい話だと
思ったけどね・・』

『まぁ、責任感と言うか、罪悪感からと言うか
本人がどうしてもと言い張りまして。
家族一同は、この婚約には反対したんですが
何せ、頑固で・・・』とチラッと家康を見る
信長に、余計なことは言わなくていいと
若干、ムッとする家康。

『そんなことはないと思いますよ。
身を挺して、自分を守ってくれた人を
今度は、自分が一生をかけて守って行くと
心に決めて、婚約したんですもの。
とても、立派なことよね。ねぇ鷹介さん。』

『うん、僕もそう思うよ。
家康君は、本当に優しくて
責任感の強い青年だと思うよ。
まだ、若いのに自分の人生を
賭する決断なんて、なかなかできる
ものじゃないからね。』

家康贔屓の鷹介も千里も
家康の人間性を大絶賛した。

桜奈を傷つけたことを
思えば、憎らしく思われても
仕方ないはず。

でも、鷹介も千里も
世の中には、どうしようもない
抗うことのできない運命が試練のように
降りかかることをその身を以て
経験済みだった。

栞を授かったと知ったその日から
戦国時代に連れ去られ、その事実と
向き合い苦悩しながら、受け入れてきた。
だからこそ、家康の苦悩も理解できた。
桜奈の失恋の痛みに、心が痛まない
わけではない。
それでも、一つの大切な経験として
桜奈自身で乗り越えてくれる日を
信じて見守るしかないとも思っていたのだ。
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