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また、恋してくれますか。

第26章 〜番外編その3〜


『そうなんだ・・・』
(一緒にいられない、辛さなら
今の私にも凄く分かる。
でも、家康さんは生きてる。
幸せでいてくれるなら、それでいい・・・
確かに、そう思ってたんだよな、私。)

家康が、幸せになってくれたなら
その思いに、自分の苦しさが少し
救われる気がする桜奈。

自分が何度も何度もそう言い聞かせて
家康の背中を見送ろうと決めていた
ことを思い出した。

(そうだよ。すぐには無理だけど
でも、幸せを願った気持ちも嘘じゃない。
いつまでも引きずってちゃダメだよね。
いつか、心全部で幸せを願える自分に
なる為に、少しずつ前に進まなきゃ・・・)

自分の気持ちと家康の幸せをただ願う気持ち。
振り子のように行ったり来たりしていたけれど
結果が出てしまった今、きちんと気持ちを
整理して行こうと、少しだけ前を向く
桜奈だった。

ただそうは、思っていても
今度は、前を向きたい気持ちと
手にできなかった幸せの狭間で
心の振り子は、揺れる。

今日は、信長と家康がお礼の挨拶にくる日。

会う勇気がなくて、前日まで鬱々としていた
桜奈に、当日になって
バイトのシフトの変更の連絡が来た。

会って、家康の顔を見てしまったら
5日間の忍耐が簡単に崩れ去り
また、気持ちが揺さぶられ
心の痛みが、振り出しに戻る気がしていたのだ。

逃げのような気もしたが、正直助かったと言う
気持ちで、シフト変更を快諾したのだった。

家族で朝食を食べている時に桜奈は
千里に

『ママ、今日ね、体調崩した人がいて
急遽バイトが入ったから、行ってくるね。
先生や、家康さんには会えないから
宜しく伝えてもらっていいかな?』

『そうなの?』と言いながら千里は
鷹介、栞と顔を見合わせた。

気遣う鷹介は、

『まぁ、急な変更なら仕方ないよ。
大丈夫。ちゃんと事情は伝えておくから
気にしないで行ってきなさい』と
優しく微笑みながら、そう返してくれた。
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