第26章 〜番外編その3〜
『ありがとう、頂こうかな。そう言えば
夕飯も食べてないけど、お腹空いてないの?』
お茶をグラスに注ぎながら、俯き加減で
『うん、空いてないかな・・・
あんまり食欲わかないし
夏バテ気味なのかも?・・・』
クスッとするが、その笑顔には
憂いが漂う。
(そりゃ、食欲もわかないよね・・・)
痛々しい笑みに、栞もやるせない気待ちに
なったが『じゃ、ケーキは?桜奈が
買ってきてくれた、ケーキ美味しかったよ!』
ケーキの言葉にピクッとしたが
『えー、でも、こんな時間に食べたら
太っちゃうよ』と困ったように笑う桜奈に
『いいじゃない!夕飯も食べてないし
明日もバイトでしょ?夏バテ気味なら
尚更、食べられるもの食べておきなさいって!』
そう言って、冷蔵庫に向かうと
桜奈の分のケーキを取り出した。
『じゃ、じゃーん!はいっ!ママが
たぶんこれを残した方がいいねって
言ってけど、これで良かった?』
栞が開けた箱の中には、苺のショートケーキが
残っていたら。
ケーキをみて、一瞬パッと明るい顔になる
桜奈。それから、栞をみて
でもな・・・と言いたげに迷いを見せるが
栞は強引に
『あれ?食べないの?そっかぁ、じゃ
賞味期限もあるし、私が食べちゃおうっかなー』
と、ニヤニヤしながら桜奈をみると
『そ、そうだよね。賞味期限切れたらもったい
ないよね!やっぱり食べようかな・・・』と
愛想笑いで返した。
『そうだよ!じゃ、私がお皿にとって
あげるから、はい!そこに、座って座って』
と椅子に座らせ、ショートケーキを皿にのせ
桜奈に差し出した。