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また、恋してくれますか。

第26章 〜番外編その3〜


千里にそう言われ、戦国時代に飛ばされた
当時を思い出した。本当に何がなんだか
分からないまま、『絶望』しかなかった。

それが、今ではあの時代へ帰りたいと
思っているのだから、千里の言う通り
大丈夫な気分になってくる。

きっと、今は辛くても
桜奈もいつか、必ず乗り越えて
行ってくれるに違いない。
そう、信じられる気がした。

結局、桜奈が部屋から出てきたのは
もうすぐ、日付が変わるかという時間だった。

鷹介と千里は、先に就寝し
栞は、TVをつけながら和装の雑誌を
読んで、桜奈の誕生日プレゼントを
考えていた。

戦国時代で暮していたせいか
もう洋服より着物の方が落ち着くと
思ってしまう。

(こっちでは、余り着る機会は
ないのよねー。私も成人式の時
くらいしか、着なかったしね。
どんなのがいいかな・・・)

ページをめくると、戦国時代の桜奈に
仕立ててあげた着物に似た着物が
目に止まった。

(あの時の着物、本当に似合ってたなー)
懐かしい、思い出が走馬灯のように
駆け巡る。

(反物買いに、千草さんと三人で
街にいったっけ・・・ふふふ
そう言えば、桜奈さんは
恐ろしく芯の強い人だったわよねー。
私を賊から逃すために囮になって
くれて・・・思えば、あの時には
もうお互いに想いあってたんだろうな・・

あら?そういえば、こんな感じのワンピースが
桜奈の部屋にあったわね・・・
やっぱり、好みは似るのかしら?)

二つの時代の桜奈に交互に
想いを馳せる栞。
すっかり物思いにふけっていると

ガチャっと、リビングのドアが開いた。
お風呂あがりに、お茶を飲むために
やってきた桜奈。

『あれ?お姉ちゃんだった。てっきり
ママがまだ起きてるかと思った。』
お風呂に入ったものの、泣き腫らした目だと
すぐに分かるほど、瞼は晴れていた。

『桜奈、お風呂入ってたの?』

『うん、引越しの手伝いで疲れちゃったのかな?
いつの間にか、寝落ちして、こんな時間に
目が醒めちゃったよ。お姉ちゃんもお茶いる?』
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