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また、恋してくれますか。

第26章 〜番外編その3〜


リビングに戻って栞に
千里が声を掛けた。
『あら?桜奈は?』

『泣き疲れて、眠ってたよ』

『そう・・・初恋だったし
本当に好きだったんだと思うわ。』
と、切ない表情になる千里。

『うん。寝言で家康さんていって
涙流してた。しばらくは、落ち込むだろうね』

『そうね・・・どんなに望んでも
叶わない事は、あるものね。
今は、そっとしといてあげるしか
ないわ・・・時薬に癒してもらうしか
ないものね・・・』

『トキ薬ってなに?そんな薬があるの?
失恋を癒す薬?!』
初めて聞いた薬の名前に
(いやあるわけないし・・・いや、でも
未来が変わってとかじゃないわよね?
まさかね?)
自分のタイムスリップが未来に影響していたら
どうしようと、急に不安になる栞に

『やーね、失恋に効く薬なんてないわよ!
頭痛薬じゃあるまいし』
呆れたように、クスクスする千里だったが
『時薬は、時間が薬ってことよ。
どんなに、苦しくて、悲しい
ことがあっても、月日が経過していく中で
少しずつ痛みも苦しみも和らいで
今よりは楽になるって話よ』

『ああ!なるほど!びっくりしたわ』と
ホッとするとともに、自分の無知が少し
恥ずかしくなる栞。

『でも、大事な薬だと思うわよ。

誰でも深く傷つくと、そのことを
思い出すたびに痛くて、苦しくて
傷口は開いたりするし
完全に癒えてくれなくて、引きずることも
あるじゃない?
でも、それでも生きていくしかないでしょ?

生きている以上は、変化していくのが
当然だもの。自分を大事に生きようと
さえしていれば、今の痛みも苦しみも
必ず意味のある気づきや、学びに
なって、人としての成長になると私は思うの。

時間をかけて自分に起こったことは
無駄ではなかったと、受け入れて行くための
時の薬よね。

だから、桜奈は大丈夫よ。
ちゃんと、時間と共に受け入れていくと思う。
栞も大丈夫だったものね!』
とクスッとする千里。
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