第25章 〜番外編その2〜
ストンと、脱力したように椅子に腰掛ける愛花。
『ハッー』と頭を抱えながら、大きなため息を
ついた。
(ダメだ、動揺が隠しきれない・・情けない)
頭を抱えて、チラッと政宗が差し入れして
くれた紙袋に目を止めた。
(せっかくだから、頂こう・・・)
紙袋から取り出した、サンドイッチをパクリ
モグモグ・・『うっま!!』と驚く愛花。
(ほんとに、味のセンスは悔しいくらい抜群だ。
あはは、料理の腕も抜群だけどね。
おばさんの息子だもん、当たり前か・・・)
壊したくない、失くしたくないと思っていた
あの場所が、政宗との関係が変わって
どうなるのかが不安だった。
おじさんやおばさんにどう思われるだろうと
怖かった。
友達の恋話を聞いていても、最初こそ
惹かれあい、ラブラブをアピールしていても
1年、2年と経たないうちに
破局した話を聞くと、信じられなかった。
恋愛においての関係性の脆さのようなものを
感じて、恋愛したいとは思わなくてなっていた。
(やっぱり、付き合うなんて考えられない・・
かと言って、気持ちを晒してしまった以上
何もなかった関係には・・・戻らないよねー
はっー、恋愛なんて、めんどー!!)
それも、そのはずだ。
愛花自身が、政宗とどうこうなりたいなどと
考えたこともなかった。
自分がどうしたいのか、政宗とどうなりたいのか
考えたこともなかった、その問題に
今、まさに直面しているのだ。
答えなど、出るはずもなく
いっそ、なかったことにしたいくらいだった。
愛花に、『今だけ楽しむ恋愛』ができる
ほど、恋愛経験があるはずもなく
なんなら、初恋の可愛い恋以外で
まともな恋など、したこともない
と言うのが正直なところだ。
愛花の中の政宗の存在を消せるような
人とは、出会うことも無かった・・・
と言うか、愛花に自覚はなくとも
政宗しか見てこなかったのだから。