第25章 〜番外編その2〜
『・・・わけないじゃない』
か細い声で、何かを呟く愛花。
『えっ?何?』
腕の中の愛花に視線を落とし
そう聞き返す政宗に
薄らと涙をうかべながらも
キッとした表情で政宗を見上げた愛花は
『言えるわけないじゃない!
こんな、気持ち悪いこと。
おじさんや、おばさんに息子をたぶらかした
なんて思われるのは、まっぴらごめんよ。
おじさんやおばさんをがっかりさせるなんて
耐えられないよ。大事な場所を失うかも
知れない、この気持ちを言えるわけないって
言ったのよ!バカっ!』
半ば、逆切れのように、そう訴える愛花を
『はっ?』と言う顔で、見下ろす政宗。
『それって・・・』恐る恐る、確認する政宗に
『そうよ!私は、あんたが好きなの!
でも、こんな気持ち抱くのはおかしいって
ずっと隠してきた。幼馴染で弟みたいに
思ってたはずの相手をそんな目で見る自分は
おかしいって、気持ち悪いって。
だから、絶対知られたくなかったのに・・・
まさか、こんなことになるとは・・・はっー』
驚く政宗の力が緩んだ隙に、自分から
政宗を突き放す、愛花。
『でも、言っとくけど
あんたとは付き合わないから。
おじさんやおばさんの為にも
この会社の為にも、あんたはしっかり・・・』
と、お説教をし始めた所で
自分の身体がふわりと、持ち上がり
『へっ?』と驚く愛花。
『よっしゃー!やった!!』と
満面の笑みで、政宗は愛花を抱きかかえ
持ち上げていたのだ。
『ちょ、ちょっと!何してんのよ!
おろしなさいって!!』あわあわする
愛花の話など、嬉し過ぎて聞いていない政宗。
『ははは、残念。賭けは俺の勝ちだ!
今更、何言ってもおせーよ。
言っただろ?何としても手に入れるって
煽ったこと、後悔すんなよって』
『はっ?何のこと?って言うか、早く
おろしなさいよ』と、持ち上げられた
不安定さで政宗の腕に両手で
しがみつくようにしながら
ハラハラする愛花。