第25章 〜番外編その2〜
それから、愛花をおろしたが
また、しっかりとホールドして
離さない政宗に
『政宗、いい加減にしなさいよ!
離してってば!』
政宗の喜びように、政宗の気持ちを
悟った愛花は、嬉しいような
気恥ずかしいようなで
この状況に戸惑うばかりだった。
何とか、政宗の腕の中から脱出しようと
もがく愛花だが、政宗の力に敵うはずもない。
ぴったりとくっつき、愛花の肩に顔を埋め
『もうちょい、このままでいさせてよ』
そう呟き、すりっと頬で愛花の肩を撫でる。
想いが通じ、幸せに満たされる政宗。
『はっー、仕方ないな』素っ気なく
そう言いながら愛花は、口から心臓が
飛び出そうなほど、ドキドキしていた。
何より、自分の想いを告げても尚
拒否されるどころか、政宗も自分を
想っていてくれたこと知ることができた。
この以上、幸せな気持ちがあるだろうか。
愛花の心もまた、喜びに満たされていく。
想いが届いたとしても、叶う恋ではないと
分かっているつもりの愛花。
でも、(今だけ・・見逃して・・・)
誰かに許しを請うように
そう、心で呟きながら
政宗をぎゅっ抱きしめ返した。
(ずっと、こんな風になれたらって
思ってたんだな、私。ほんのいっ時でも
十分に幸せにしてもらえたよ。
ありがとう政宗。)
幸せで満たされていく自分に涙が零れた。
時間にしたら、数十秒も抱きしめ合って
いただろうか?
どちらともなく、身体が離れて
見つめ合い、時が止まったように
お互いの眼差しに釘付けになり
何も考えられない。
少しずつ近づいてくる政宗の瞳。
鼓動だけはどんどん高鳴るのに
魔法にかかったように
愛花は、流れに逆らうことはできなかった。
そのまま、静かに目を閉じた。