第25章 〜番外編その2〜
『そうですか・・でも、ほんと
お似合いなのになぁー・・・』
ほんとに、残念そうにする桜奈。
『ふふふ、期待に添えなくて申し訳ないわ。
ああ見えて、政宗はモテるから年上の幼なじみに
ちょっかいかけるほど、落ちぶれちゃいないって
政宗なら逆ギレするかもね!』自虐的なことを
自分でいいながら(実際、ホントのことだし)
と惨めな気持ちも一緒にわき起こる。
『さて、私もコーヒーもらってから事務仕事に
戻るとするか!じゃぁね、桜奈ちゃん
お疲れ様。デート楽しんでね!』
席を立ち、退室しようとドアノブに
手をかけると、少しドアが開いているのに気づき
(ちゃんと、閉まってなかったのかな?)
と、深く考えずドアをあけた。
目の前には、休憩にきた政宗がトレーを
持って立っていた。
『うわっ!!』とびっくりする愛花。
政宗が、ドアを開けようとした時に
聞こえてきたのが
『政宗とは、付き合うつもりはない!』と
断言するような愛花の声だった。
自分は弟くらいにしか見られていない
恋愛対象なんてあり得ない!
完全に拒否されたようで、その場に
立ち尽くしてしまっていたのだ。
愛花の驚いた声に、ハッと我に返る政宗は
『おっ!さすが愛ちゃん、ナイスタイミング
ちょうど、ドア開けようとしてたんだよ!
やっぱり、俺ら気が合うねー!』
いつもの、軽い口調で話しながら
ニッと笑う政宗だったが
愛花には、とても無理して
笑っているように見えた。
『政宗?』心配そうな顔する愛花だったが
『何?』と怖いくらい冷たい表情で
一言そう返した政宗。
ビクッとし固まる愛花を無視するように
政宗は、愛花の横をスッと通り過ぎていった。