第25章 〜番外編その2〜
政宗の父から頼まれた事が
愛花の胸の中でざわつき始める。
(なんて、切り出そうか・・・
だいたい、私の言う事なんて聞くやつか?
でも、さっさと結婚が決まった方が
私もキッパリ諦められるかも・・・
って・・・たかだかお見合い話が
あるってだけで動揺して大失態
したくせに?結婚するなんてなったら・・・
たぶん、側にいるのは耐えられない・・・)
悩む愛花は、自分でもどうしてよいか
分からずに、困った顔で大きなため息をついた。
『はっー』
『すげぇ、ため息ついてっけど
どうした?』と急に後ろから声をかけられ
ビクッ!!と驚いた愛花が鏡をみると
政宗が背後に立っていた。
『うわっ!びっくりした。な、なに?』
『あっ、朝飯できたから呼びにきただけ。
んじゃ、向こうで待ってるわ』と
スタスタと戻って行く政宗。
鏡越しに視界から消えて行く政宗を
目で追いながら
(ダメだ、こんなことしてたら
何もかもが、中途半端になっちゃう。
政宗には政宗の立場が
私には、私の夢がある
どちらにしても、望みのない恋愛に
いつまでも、振り回されてちゃダメだ!
耐えられなくなる前に、一刻も早く
独立しなきゃ!!)
鏡を見ながら、頬をパシパシと叩き
気合を入れ直す愛花。
『よし!』いつもの、仕事モードに
切り替えをした愛花は
朝食を取りながら、お見合いの話を
政宗に切り出した。
『流石、政宗!手際がいいね。
美味しいよ!』
『まぁね。愛ちゃんと一晩一緒に
過ごして、朝食を共にする日が来るなんてな。
期待してたシチュエーションとは
若干違ったけど』と、ニヤッとする政宗に
『何、馬鹿なこと言ってんのよ!
今までだって、お泊まりに朝ごはんは
しょっちゅうあったじゃない!』
しれっと返す愛花。