第25章 〜番外編その2〜
桜奈の話は、戦国武将の中でも
特に徳川家康の話が中心で
それに絡めるように、ちょいちょょいと
下宿している、家康の話を嬉しそうに
楽しそうに、時には、プンプンしながら
話てくる。
その、コロコロと変わる表情は
愛花からみても、可愛いと癒されて
しまう。
政宗の母に鍛えられた、戦国時代の知識と
同時に、培われた聞き上手スキル。
いつの間にか、桜奈とは歴史談義に
花が咲くことも多かった。
ただ、桜奈本人は隠しているつもりの
家康への恋心はダダ漏れで、桜奈が
家康を好きなのはすぐに分かった。
話の端々で家康もまた桜奈のことを
想っているのではないか?と感じるのだが
それで、付き合いに発展しないことを
不思議に思ったりもした。
しかし、桜奈が全く分かっていない
無自覚なタイプの子だと分かり
なかなか進展しないんだろうなと思うと
家康の苦労が偲ばれる気もした。
政宗が気になっているだろう桜奈には
既に好きな人がいると知り、政宗は
どう思っているのだろうかと思うと
やるせないような、ただ、それとは裏腹に
ほっとするような複雑な気持ちにもなった。
一時期、結婚願望を吐露し、絶対諦めないと
言っていた話は、高校の時の彼女と
よりを戻したいと言う話ではなかったのか?
それなら、桜奈に興味を示すのは
何故だろう?
政宗の秘めた想いに、思いを巡らしても
最終的に、愛花の行き着く答えはいつも
同じだった。