第25章 〜番外編その2〜
年が明けて3月。
愛花は、カフェのオープンに向けて
目まぐるしい日々を送っていた。
政宗も第一志望に無事合格し
大学近くで一人暮らしの準備の真っ最中
一人暮らしするにあたり、両親に
豪華なシステムキッキンを頼んだが
出世払いか、もしくは商品開発で
対価を払えば、要望を聞き入れてやると
条件をだされた。
どのみち、愛花を手に入れる為に
オープンするカフェでバイトをしながら
愛花の補佐をしようと考えていた政宗。
キッチンを餌に、愛花を招き入れる為には
欠かせない必須アイテムでもあり
両親からの条件を受け入れ、豪華キッチンを
手に入れた。
政宗の気持ちは、両親にはバレバレだったが
政宗自身も隠すつもりはなかった。
政宗の気持ちを知らないのは、愛花だけ。
年齢差に引け目を感じ、自分の気持ちは
心に秘めたまま、ひたすら仕事に邁進する日々。
愛花の両親ですら、政宗の気持ちを
知っていたが、娘の気持ち次第と
ただ見守っていた。
愛花の知らない間に、政宗は着々と外堀を
埋めていたが、当の愛花の気持ちが分からない。
政宗の両親にとっても、愛花は娘に
等しいくらい可愛い存在で、嫁に来てくれるなら
大歓迎だったが、政宗が愛花を振り向かせる
ことができなければ、会社の為に政略結婚は
必須だと政宗に伝えてあった。
厳しい条件かも知れないが、政宗の両親に
取れば、会社もまた我が子同然。
街の小さな洋食屋だった店を政宗の祖父
更には両親の代で、一部上場の名のある企業
にまで成長させてきた。
社員の生活の為にも、政宗にはちゃんと
引き継いで、会社を盛り立てて
行って貰わねばならない責務がある。
それが、御曹司と言うセレブな響きの
裏にある、責任と重圧なのだ。