第25章 〜番外編その2〜
どれくらいの時間が経ったのだろう。
額に当てられた冷たいタオルに微かに意識を
取り戻しだが、目蓋が重くて上がらない愛花。
『お母さん?お水・・・』
と言ったところで、また微睡の中へと
落ちていきそうになった。
『愛花・・・』遠くに微かに聞こえた
自分の名前を呼ぶ声。
それから、唇に柔らかいものが当たり
水が口の中に流れ込んでくる。
ゴクゴクと飲み干し
喉の渇きが癒えたところで
また、眠りの中へと誘われた。
翌朝、熱が少し引いた愛花。
愛花の母が、氷枕を替えにやってきた。
『おはよう、目が覚めた?
氷枕取り替えるわね。はい、熱も測って』
テキパキと、看病する母。
『お水飲む?あと着替えなきゃね・・』
『ありがとう。昨日も寝てる時にお水
飲ませてくれた?夢かと思ってたけど
ちゃんと、水分とれてたみたいだね』
そう言う娘に、『ああ、政宗君が飲ませて
くれたんでしょ?熱で朦朧として
勘違いしてるわよ』
(はっ?)
『なんで、政宗が?』
『ああ、凄く心配してくれてね。
大丈夫だからって言ったんだけど
少しだけ、様子見させて下さいって
言ってね。イケメンにあんなにお願いされたら
お母さん、きゅんってして』とクスッとし
『多喜子さんに、言ったら、迷惑じゃ
なければ、勉強の息抜きに好きにさせて
やってって言うから、甘えちゃった。てへっ』
下を出して笑う母に
『いやいや、受験生になんて無茶振り
するかなぁ、この母達は・・風邪うつったら
どうするのよ』
『大丈夫でしょ?政宗君、丈夫だもん。
お水持ってくるね』
悪びれることなく、ニヤッとしながら
水を取りに一旦部屋を出た愛花の母。