第25章 〜番外編その2〜
考えたこともなかった。
これまでも、これからも、ずっとその場所は
変わらないまま、自分を受け入れてくれる
ものだと勝手に思っていたのだが。
(そっか、家族ぐるみの付き合いだけど
私は、家族じゃないんだもん。
ただのお隣さんでしかなくなる日がくる。
そんな当たり前のこと分かってなかったなんて
バカだな・・私・・・)
6歳も年上の自分が、政宗の隣にいて
伊達家の家族になる方が、よほど
想像がつかなかった。
(私が、政宗と結婚!いや、有り得ないよ。
6こも下だよ?厳密にに言えば5歳半だけど
いや、それでもないよ。
ない、ない、ない・・・)と、一人首を横に
振る愛花。
(それにしても、さっきはびっくりしたわ。
子供だと思ってたのに、いつの間にか
男の人って感じになってたな・・・
次に会う時は、もっと大人になってて
彼女とかもできてるかも)そう思うと
また、胸がチクリとする。
(ん?なんだろ、このもやもやする
感じ・・・あっ、きっと弟を取られる気分?
本当の弟でもないのに、取られるは
おかしいわーうわっ!
なんか私ってキモいかも!)
愛花が政宗に対する感情の正体を知るのは
もう少し先になってからだった。
スッキリしない気持ちを
抱えながら、新生活に突入していった
愛花。
政宗の父の会社が展開する
ケーキ専門店に配属になった。
仕事を覚え、慣れて行く事に必死で
休みの間も、新しいレシピを考えたり
勉強の為に、色々な店でケーキを食べ歩き
また、研究する。
そんな日々を過ごし、実家に帰る時間も
惜しいほど、仕事にのめり込んでいた。
仕事を始めてから、初めての3連休。
実家に帰ってきたのは
一人暮らしをして、初。
就職前に、誕生日ケーキを政宗に
作ってもらった、お返しも兼ねて
政宗の誕生日に合わせて夏休みをもらったのだ。