第25章 〜番外編その2〜
楽しい時間は、あっと言う間に過ぎて行く。
『おばさん、政宗、今日は本当にありがとう
ございました。楽しかったし、美味しかった!
仕事始まったら、なかなか帰ってこれないかも
知れないけど、戻ったらまた料理教えてね!』
『ええ、もちろんよ。愛ちゃんは私にとっては
娘同然だもの。いつでも、遊びに来て頂戴!
じゃ、主人のこと宜しくお願いします。
力になってやってね』
『こちらこそ、おじさんに迷惑かけないよう
精一杯、働かさせてもらいます!
じゃ、私、そろそろ帰りますね』
『うん、気をつけて!じゃ、また会える日を
楽しみにしてるから』そう言って、優しく微笑み
政宗の母に、ぎゅっと抱きつき
『おばさん、ありがとう!おばさんに料理を
教われて、本当に楽しかった』と
にっこりと微笑み、『じゃ、また!』と
スッキリした顔で、政宗の家を後にした。
門扉を閉め、自宅まで30秒もかからない
道のりを歩き出してすぐ
『愛ちゃん!』と玄関のドアが開き
政宗が追いかけてきた。
振り返り『ん?政宗、どうしたの?
私なんか忘れ物した?』と
自分の鞄の中をチェックしながら
(携帯あるし、鍵もあるし
ないものないけど?)と、思った。
すると、政宗が無言で紙袋を愛花に差し出した。
愛花は、キョトンとした顔で、『ん?私に?』
と受け取ろうと手を伸ばしたが
すると、突然、伸ばした手を政宗が捕み
自分に抱き寄せた
そして気がつけば、政宗の腕の中にすっぽりと
愛花は収まっていた。
(へっ?な、な、なに!?)
『政(宗)・・』と言いかけた言葉を
遮るように、ぎゅっーっと抱きしめると
『愛ちゃん、俺、早く大人になるから!
だから、俺が高校卒業するまで待っててよ!
誰のものにもならないで待ってて!』
絞り出すような声で、政宗はそう言った。