第25章 〜番外編その2〜
政宗の高校受験も無事終わり
来月からは、愛花は社会人
政宗は、高校生になる。
社会人になるのを機に、会社の近くで
一人暮らしの予定の愛花。
10年以上続けてきた、政宗の母から
教わる料理教室も、一旦終了となってしまう。
愛花の誕生日も近い事もあり
最後の料理教室の日は
誕生日ケーキを作る予定だったが
愛花は、政宗の母に
パティシエを目指すきっかけになった
桜の描かれたケーキを作って欲しいと
お願いしていたのだ。
桜という字こそ、愛花の名前には
入っていないが、愛花が生まれた日は
満開の桜が咲き誇っていた。
我が子が生まれた感動と桜の花の美しさに
愛花の両親は感動し
桜の花のように誰からも愛される
女性に育って欲しいと願いを込めて
『愛花』と名付けられた。
名前の由来でもある桜は、愛花にとっても
思い入れのある大好きな花だった。
それから、政宗の母が考案したケーキに
魅せられ、こんなにも美しいと思う
ケーキがあるのかと、子供ながらに
感動した思い出のケーキ。
政宗の母が、直に作るところを
是非見せて欲しいとリクエストしていた。
最後の料理教室の日、政宗の家に行くと
出迎えた、政宗の母の手首には
包帯が巻かれてあった。
『おばさん!手、どうしたの?大丈夫?』
驚く愛花に
『ごめんねー、愛ちゃん。午前中階段で躓い
ちゃってさ。咄嗟に手をついたら
捻ったみたいで、捻挫しちゃったのよ。
今病院から戻ってきたとこ。
帰ってきて、連絡しようと思ってたけど
遅くなっちゃった。ごめんね。』
と、申し訳なさそうにする政宗の母。
『えー、捻挫だけ?骨とかは大丈夫?』