第25章 〜番外編その2〜
着替えて、リビングに戻ってきた政宗の父は
今日の一連の事情を聞いた。
『もう、びっくりしたわよ。いきなり
愛ちゃんにキスするんだもん。
愛ちゃんも驚いてたけど、政宗の気持ちを
汲んでくれてたわ。』
『愛ちゃんは、優しいからな。
政宗は、俺は愛ちゃんと結婚するかとか
言って、一丁前にドヤ顔してだぞ。
愛ちゃんのチョコ部屋に持っていって
たから、よほど嬉しかったんだろうな』
『そうね。愛ちゃんのおかげで
お料理にも興味深々で、飽きずに
やってるわ。おませなところは
あるけど、政宗にとっては初恋だもの。
そんな気持ちが芽生えるほど
いつの間にか、大きくなってるのね。
つい、この前まで腕の中に収まってた
はずなんだけどね。』
政宗の成長が嬉しいような
少しずつ手が離れていく事が
寂しいような政宗の母だったが
『でも、まっ、伊達政宗みたいな
伊達男になってくれたら、言うことないわー♪』
息子が、戦国武将の伊達政宗ように
男らしく、頼れる大人になって欲しい
政宗の母にすれば、我が子の一途な感じは
誇らしく思えた。
(はい、はい。伊達政宗にはかないませんから。
まぁ、この苗字のお陰で、僕に興味を
持ってもらえたのも、確かだけどね。
そう言えば、読み方違うのかよって
がっかりされたっけな・・)
出された晩酌片手に息子の恋の話から
自分の懐かしい思い出が蘇る。
甘酸っぱい気持ちに、くすっとしたが
鼻歌混じりで楽しそうに、料理を
温めなおしてくれる妻を愛おしそうに
眺めた。