第25章 〜番外編その2〜
政宗が可愛くて、それから頻繁に
行き来するようになった愛花。
やがて、3歳くらいになると
愛花の後をちょこちょことついてくる政宗を
実の弟の様に可愛がり、一緒に遊んだ。
この頃から、政宗の母は愛花に
お料理を教えてくれるようになった。
初めは単純に、かき混ぜたり
トッピングしたりの作業だったが
それが楽しくて、美味しくて
そんなことを繰り返しながら
愛花は、料理にのめり込んでいった。
政宗も愛花の真似をしながら
母譲りの料理のセンスもあって
愛花同様、料理の腕前を磨いて行った。
政宗が5歳の頃のことだった。
幼稚園には、優しくて綺麗な百合香先生が
男の子の園児には1番人気で
友達は、百合香先生好きーと
先生を取り合っていた。
友達同士の会話の中で
仲良しの子が
『俺、大人になったら百合香先生と
結婚するんだ!』と決定事項のように
ドヤ顔をした。
結婚の意味がまだよくわからなかった
政宗は
『結婚って何?』と尋ねると
『政宗、結婚知らないのか?
好きな人とチューできるんだぞ。
うちのお父さんお母さんが
チューしてるの俺、みたんだ。
お母さんに聞いたら
チューは、好きな人とするもんで
結婚したらできるって言ってたぞ!』
『百合香先生と結婚してチューしたいの?』
『うん、百合香先生好きだから、結婚する
政宗は、政宗は誰と結婚したい?』
『うーん』と考えたが、政宗の頭の中に
浮かんできたのは、愛花の顔だった。
『俺は、愛ちゃんと結婚する』
『愛ちゃんって、ひまわり組の愛ちゃんか?』
『違うよ、愛花姉ちゃんは、隣の家に住んでる。
今、小学生だよ』
『へぇー、良かった。政宗も百合香先生と
結婚したいって言ったら嫌だなって
思ったから。じゃ、俺は百合香先生と
政宗は愛ちゃんと結婚な!』
他愛ない、園児同士のあるあるな話。
けれど、政宗はこの時には
愛花と結婚するんだと信じて疑いも
していなかった。