第25章 〜番外編その2〜
お姉さんと言われ『えへへ』と
嬉しそうにする愛花は
『愛花ちゃん、お菓子は好き?』
『好きー』と手を上げ、興奮気味に
ぴょんぴょんジャンプする愛花。
『そっか、このお菓子ね、おばちゃんが
考えたんだー、後で美味しかったどうか
また、教えてくれる?』
と、政宗の父から紙袋を受け取ると
愛花に差し出した。
『分かったー!おばちゃん、ありがとう!』
躊躇いなく、紙袋を受けとる愛花。
『これ、愛花!もう、ほんとすみません。
遠慮なく頂戴します。
ありがとうございます』と
頭を下げる愛花の母。
『いえ、いえ、こちらこそ。
ご迷惑をおかけしますが
宜しくお願いいたします。
また、引越しの時にご挨拶に
伺います』
そう言うと、伊達夫妻は帰って行った。
早速、おやつに頂いたお菓子の
箱を開けた愛花の母は
『わぁ、きれい!食べるの勿体ないかも』
と、目を輝かせた。
光沢のあるチョコでコーティングされた
長方形のチョコレートケーキだったが
その表面には、ピンク色のチョコで
風に舞うように桜の花と花びらが
鮮やかに描かれてあった。
『見て!愛ちゃん、凄いきれーだよ』
『見せてー!』と台所にかけ足で寄ってきた
愛花は、子供ながらにその桜の美しさに
衝撃を受けた。
『ふわぁー、きれい・・・』見開いた瞳は
ケーキに釘付けになった。
こんなに、きれいなお菓子があるのかと
そう感じているように、目をキラキラさせ
見惚れる愛花。
『ねー、凄いね。奥さんが考えたって
言ってたけど、パティシエさんかな?』
『パ・・テ・・?』と、最後まで
上手く言えない愛花に
『パ・ティ・シ・エ!
ケーキやお菓子を作るお仕事してる人
のことだよ』
『パ・・ティ・・シ?』やっぱり上手く
言えない愛花に愛花の母はまた
『パ・ティ・シ・エ、ね』と復唱した。
『愛ちゃん、お姉さんになったら
それになる!ケーキ作る人!』
『そっか!愛ちゃんは大人になったら
ケーキ作る人になるの?じゃ、お母さんに
こんな素敵なケーキ作ってくれる?』
『うん!!』ともちろん!と言うように
満面の笑みで返事をする愛花。