第24章 〜番外編その1 〜
詩織の硬く握りしめた手をとると
『言っただろう、俺はお前に興味があると
お前は、俺にまた会いたいと言った
俺にもまた、お前に会いたい』
そう言いながら、握りしめしめた
指を開き、手を繋ぐ信長。
ハッと顔を上げて、自分を驚いた
表情で見る詩織から視線を外す事なく
握った詩織の手に口付けした。
『悪いが、俺は興味を持つと
執着が酷くてな・・・逃げられないかも
知れないから、覚悟することだな』
そう言って、ゾクッとする
含みのある笑みを浮かべる信長。
///かぁーっ///となったが
(なんだろう?私が追っかけてたはずなのに
この、罠にハマって捕まった感じは・・・)
そう思いながらも、込み上げる
嬉しさが胸いっぱいに広がって行く。
『せ、先生の方こそ、やっぱりお子ちゃまは
要らないとかの返品は不可ですよ。
私、しつこいんですから!片想いを
7年も拗らせるくらい、めっちゃ、しつこい女
なんですからね!覚悟して下さいよ!』
海風に吹き飛ばされそうな麦わら帽子を
片手で抑えながら、どうだと満面の笑みで
そう言い放つ詩織。
可愛いいでは足りない何かを感じた。
(ああ、そうか。これが愛おしいってやつか)
決して、埋まる事はないと思っていた
自分の心の空虚が詩織の笑顔に満たされて行く。
『上等だ。離れられると思うなよ!』
そう言って、詩織をふわっと抱き上げた。
突然、視線が高くなり『きゃっ!』と
声を上げる詩織。
視線を下ろすと、信長が眩しそうに
しながら微笑んでした。
いつの間にか、陽は傾き始め
オレンジ色が辺りを包み込む。
高低差のあった、長く伸びた影が
同じ高さで重なった。