第24章 〜番外編その1 〜
(それが、まさか、そのお兄さんと
一緒に海に来るなんて思わなかったな)
とクスッとする詩織。
そのまま、潮の香りを満喫していた。
やがて、駐車場に着いたが
『少し歩きたいが、歩けるか?』と言う信長に
『もちろん!』と、信長より早く
助手席から降りる詩織。
海までは、今少し歩かなくてはならないが
まだ、夕方までには時間があり
炎天下の日差しは頭頂部にジリジリと
照りつけた。
『やっぱり、暑いなー』と嬉しそうに
両手を上て、伸びをする詩織。
手を額にかざし、空を見上げてた信長も
『そうだな、ちょっと待っていろ』と
駐車場のすぐ近くの店に入ると
少しして戻ってきて
『ほら、これを被っておけ。』と麦わら帽子と
ぽすっと被せてくれた。
ツバのそれほど大きくない麦わら
帽子は、詩織の今日の装いにも
違和感なかった。
『えっ?あ、ありがとうございます』
信長が、きめ細やかな気遣いの
できる人なのだと言うことは
ジャケットの時もそうだが
今日一緒に過ごし、改めて
感じる。
(ほんとに、俺様な態度を装った
めっちゃ優しい人だよねー
この、さり気ない気遣い・・紳士だー。
やっぱり、かっこいいなぁ!)と
再確認するように、信長をチラッとみたが
改めてみると、イケメンのキラキラが
更に5割増しに見える詩織。
また、ドキドキが始まりパッと視線を逸らし
信長を見れなくなった。
(やばい、いつも以上にイケメンに見える!)
麦わら帽子を深く被り直すフリをして
顔を隠した詩織をみて優しげに
ふっと笑った。