第24章 〜番外編その1 〜
『何にする?』と信長にメニューを
渡された詩織。
『オススメは、コーヒーとナポリタン
でしたっけ?』
メニュー表をめくりながら尋ねる詩織に
『ああ、俺はいつもそれだが
他のもどれも上手いから
どれもオススメだがな。』
チラッと信長をみて、またすぐに
メニューに視線を落とす詩織だったが
パタンとメニューをとじると
『じゃ、先生と同じものでお願いします』
と、にっこりした。
『分かった』といって、マスターに
注文する信長。
料理を待っている間
何を話していいか分からない詩織は
頬杖をつきながら、庭の景色に見入っていた。
懐かしいような、幸せなような
感覚にほっこりした気分になる。
『そんなに、気に入ったのか?』
うっとりし、微かな微笑みを浮かべ
庭を眺める詩織を眺めていたい気分と
こっちを見ろと言う気持ちが入り混じり
思わず声をかけた信長。
頬杖をパッと外し、えっ?と言う表情をしたが
すぐに、にっこりとしながら『はい』と
答える、満足気な表情にドキっとさせられた。
『先生は、このお店の常連さんなんですね。
いいんですか?隠れ家的な場所に私なんかを
連れてきて。さっき、マスターが連れ同伴は
珍しいって言ってましたけど』
(こんな素敵な店だもん、もっと素敵な人を
連れて来たりしてたんだろうな・・・珍しいって
きっと、久々ってことだろうし・・)
みも知らない詩織の中での
想像上の素敵な人と自分を比べて
しゅんとする気持ちになって行く。
だが、信長から返ってきた返事は
意外なものだった。
『この店に人を連れてきたのは、お前が初めてだ』