第24章 〜番外編その1 〜
『どうした?さっききから、何が
可笑しいんだ?』
ツボにハマってしまった詩織は
『プププ・・』と
プルプル肩を震わせながら
漏れる笑い声を必死に押さえたが
堪えきれなくなり
『あはは・・・!』と、とうとう
声に出して笑ってしまった。
『ふっ』とつられて笑う信長だったが
『楽しそうで、何よりだ。何が面白いのかは
知らんが、そうやって笑ってる方が
お前には似合ってるな』
笑っていた詩織だったが、信長にそんな
ことを言われ、ハッとし
ぴたっと笑いがおさまり
また、少し俯く詩織。
(はっー、勝手に想像して、急に
笑い出したら、気持ち悪いわ。
何やってんだかなぁ)
あくまで、今日の目標は
信長の隣で大人っぽく振る舞うこと。
笑ってる方がお前らしいと言われても
子供扱いされたようで、ガッカリ
する気分になった。
よく分からないが、再会した当初に
比べて、様子がおかしいと感じる信長。
これが、本来の詩織の性格なのか
判断しかねていた。
『この前のパンケーキ屋でもそうだったが
今日もいつもの威勢がないようだが?
まぁ、いい。具合が悪いわけじゃ
なさそうで安心した。もうすぐ着くぞ。』
やがて車は、目的の店に辿り着いた。
喫茶店風のこじんまりした小さな店。
しかし、手の込んだガーデニングに
囲まれたその店は、さながら
森の中にある小さな山小屋の
イメージだった。
『わっ、なんか可愛い店』
ぱぁっーと、明るい顔になる詩織。
『入るぞ、ここのコーヒーとナポリタンが
絶品でな。俺の隠れ家のような場所だ。』
(隠れ家?)
そう言いながら、ドアを開けると
カランコロンと懐かしくなるような
ドアベルが鳴り響く。
『いらっしゃいませー』と
初老のマスターがカウンターで
声をかけてたが、信長を見て
『おや、先生!いらっしゃい。
おやおや、お連れ様連れとは
これまた、珍しいですね?』