第24章 〜番外編その1 〜
『そうだよ!大事なのは、今だもん。
先のことばっかり考えて、今を大事に
しなかったら、もったいないよ。
それに、今を大事にできるなら
きっと、この先も大事にしていけると
思うんだ!
私の場合は、繰り上げ当選の
棚ぼたみたいな奇跡で成就したから
余計にそう思う。
好きな人と関わっていられるって奇跡だ!
だから、しぃちゃんも先に繋がるように
今を大事にさ!ねっ?』
素直さの塊のような、キラキラした瞳で
屈託のない笑顔を向ける桜奈。
(全く、天然なんだか、達観してるんだか
分かんない人だよね。桜奈って)
『そうだね、桜奈の言う通りだ!
うん、なんか勇気出てきた。
先のことは、とりあえず置いといて
先生にまた会えることを、楽しんでみるわ。』
と、ニッっとしながら、親指を立てる詩織。
『うふふ、うん、頑張れ!しぃちゃん!』
と言いながら、桜奈も詩織と
同じポーズで返した。
家に戻ると詩織は
早速、携帯に連絡先を登録した。
お店で、信長に会ったのだから直接
連絡先をを交換もできた。
でも、驚きと恥ずかしさと緊張でずっと固まり
そんな余裕などあるはずもなかった。
スマホの登録画面に信長先生と
入れた詩織。
嬉しさがまた込み上げる。
(繋がりができた!)
スマホを胸に抱きしめ
パタパタと足をパタつかせて
喜びを噛みしめていたが
『あっ、私の連絡先も送らなきゃ!』と
今度は、文面をあれこれ悩み
送信ボタンを、押すまでも
かなりの時間を費やした。
『詩織です。登録しました。
今日は、ご馳走様でした。
また、連絡します』とやっと送ると
すぐに『了解。』とだけ返ってきた。
たった一言、業務連絡のような
何の感情もこもらない返信でも
自分だけに向けられた、返信。
顔がにやけて、嬉しくなる詩織。
(ほんとだ、ジェットコースターに
乗ってしまったんだな私。)そう思った。