第24章 〜番外編その1 〜
パンケーキ屋からの帰り道
『あー、美味しかった。結局、先生に
御馳走になっちゃったね』と桜奈。
『だね・・・』と、元気のない詩織。
『しぃちゃん、なんか元気ない?』
『だって、なんかもう、どうしていいんだか』
と言って、両手で顔を覆い、ありえないと
首を振る詩織。
(ああ、なんでメモ返さなかったの?
なに?あのガッツいたみたいな奪い方///
あれじゃ、まるで会いたいっていってる
ようなもんじゃない・・・
二度と会いたいなんて思わないとか
言っといてー)
詩織が凹んでいるのは、パンケーキ屋での
自分の態度。
信長が来るまで、家康にジャケットを頼もうと
していたくせに、メモを返してと言われ
メモを返さなかった自分に自分が驚いたのだ。
気がついたら、信長より先にメモを手にして
奪われないようにしていた。
(なんで?なんで?なんでー?
私、何してんのよー!!)
咄嗟のでき事とはいえ
自分の本音だだ漏れの行為が
恥ずかしくて仕方なかったのだ。
『会う恥ずかしさより、会えなくなる怖さが
勝ったんでしょ!それが、しぃちゃんの
本音の本音の本当の気持ちでしょ?
違う?』
桜奈に図星をつかれ
『・・・違わない』とぽつりと呟いた。
『やっと認めたね!自分の本音!
それに、先生も言ってたもんね。
《また会って話がしてみたかった》ってー!』
全然似ていない信長の真似をし
詩織を冷やかす桜奈。
『あー!もう、やめて、恥ずかしい
桜奈、あんた、徳永さんと
一緒にいるうちに、意地悪になってない?』