第24章 〜番外編その1 〜
『ああ、はいはい。
桜奈と徳永さんの出会いも
特別、特別。でなきゃ、婚約解消して
桜奈と付き合うなんて
無かったでしょ・・・
これぞ、The!運命の出会いだよ』と
子供をあやすように冷やかした詩織に
『あーっ、適当に流したわね!』
ぷぅっと、膨れたが
『それだったら、しぃちゃんと先生だって
特別枠の運命の出会いでしょうよ!
だって、あの海でしぃちゃんと
先生が出会わなければ、今ここで
しぃちゃんとこうしてパンケーキを
食べるこだって、できなかったかもだよ・・・
しかも、何処の誰かもわからなかった人に
二度も再開して、しかも、ほら』と
メモを指差す桜奈。
『これだけ、強力なご縁で結ばれてる
ってことじゃないの?』と
やたらと、特別な運命だと強調する
桜奈に、そうかも知れないとは
言えなかったし、思えなかった。
自分がこんなに臆病だとは思っていなかった。
また、会ってこれ以上好きになったらの
怖さで足がすくむ。
(ダメだ、私、いつの間にこんなに
好きになっちゃってたの・・・)
気持ちを伝えて、拒絶される方が
よほど後悔を残してしまう気がして
顔を上げて前を向くなど
できそうになかった。
それなら、このまま忘れてしまいたい。
また、深刻な顔になって行く詩織。
(やっぱ無理、もう会うの怖い・・・
ジャケットは、桜奈経由で
徳永さんに頼もう・・)そう思い
『桜奈、悪いんだけどさ
徳永さんに頼んで、ジャケットを
先生に返してもらってくれないかな・・・』
顔を上げて、桜奈を見ると
桜奈は、あっ!と言う顔して
視線は、詩織の肩越しを見つめた。
『それだと、連絡先を渡した意味が
ないんだがな』
詩織の後ろで信長の声がした。