第24章 〜番外編その1 〜
桜奈の言う通りなのだ
恋はするものではなく、落ちるもの。
自分が好きになることを制御など
できはしない。
制御しようと思っていることが
恋に既に落ちたと、自分で証明している
ようなもの。
恋した事を認めるまでの、タイムラグは
あっても、ん?もしかして、の時には既に
落ちたあとなのだ。
既に恋している自覚のある詩織は
まさに、制御しようと必死に抵抗しているに
過ぎなかった。
想いが届かない、通じ合えなかった時の
自分へのダメージを考えると
怖くて、これ以上前に進まないように
色んな言い訳で武装する。
誰も傷つきたくなどないのに
好きになってしまう事を止められる
わけでもない。
タイプじゃないだろう?
私を好きにはならないだろう?
そうやって、予防線を張り巡らし
防御しようとしたところで
片想いは、片想いでじわじわと苦しくて
かと言って、告白して想いが届かなければ
その強烈な痛みもまた、防ぎようがないのだ。
(恋って、ほんと厄介だわ)心底そう思う詩織。
眉間にシワを寄せて、難しい顔で
心底、めんどそうな顔する詩織に
『しぃちゃん、顔怖い。
そんなに、悩むってことは
やっぱり、好きなんだよね・・先生のこと。
思ってたのと違ったー!って言ってたけど
やっぱり、思ってた通りの人だったんだ。
小学生のしぃちゃんを助けて、何処の誰かも
分からなくて、一生会えないかもって
思ってた人と縁があるなんて。
凄い偶然って言うか、奇跡だよね
運命みたいだって、私は思うよ』
『・・・そうなのかなぁ・・』
自信などこれっぽっちもないけど
そう言われた詩織は
前に祖母に言われた事を思い出していた。