第24章 〜番外編その1 〜
『・・・』言葉につまる、詩織の表情は
とても苦しそうに見えた。
『しぃちゃんは、私なんかより
ずっと自分を自覚できてるでしょ?
私は、天然って言われても
何でそう言われるのかも正直、わかんない。
でも、しぃちゃんは自分をちゃんと
わかってると思うんだよねー』
(さすが、私をよくご存知で)
『それは、否定しない』とキリッとした
顔で答える詩織。
『ふっ、しぃちゃん、相変わらずの切れ味
だねー』と笑うと
『天然って言うけど、天然って何?って
思うんだよねー。あと、無自覚もだけど
どんなところが?って思っちゃうよ』
と、まっいっかな雰囲気で
さして気にも留めていない桜奈に
『うん、分かってないところが
天然で無自覚なんだよ?分かる?』
詩織が何を言っているのか分からないと
言う顔でキョトンとする桜奈に
(うん、だからそう言うとこなんだけどなっ!
通じてないし!!)
と、苦笑いする詩織。
『まっ、いいの、いいの。
それが桜奈の可愛いとこだし!
私とは、可愛げが違うからさ・・・』
(そうなんだよ、そこなのよね
私、可愛い気がないんだよ・・・)
『それは、人の好みによるでしょ?
みんながみんな、私みたいに
どっか抜けてるような子を好きに
なってくれるわけじゃないし
しぃちゃんみたいに、察しのいい
頭の回転の速い賢い子がいい人だって
いるし・・・
要は、好きになった人が
タイプになるんじゃないの?
タイプだから好きになるんじゃなくて
好きな人になった人がタイプだって
少女漫画とかで、ほらよく言うじゃない。
あながち間違ってない気がするよ。
しぃちゃんは、先生が自分を相手に
するわけないって言うけど
そんなの、先生の気持ちは
先生にしか分かんないじゃない?
しぃちゃんが、決めつけてるだけじゃない?』
と、時々鋭い指摘を
するのも桜奈なのだ。
(そうなんだよね、この人、時々鋭い
しかも、無自覚で!!)