第24章 〜番外編その1 〜
『ごめん、今日は、もう・・私
なんて言えば、もうね・・・』
興奮気味に話す、桜奈の話は
言語として、成り立っておらず
さっぱり話が見えない。
(どうした?なんでそんなに興奮してんの?)
『ちょっ、ちょっ、桜奈落ちついて
何言いたいかさっぱり、分かんない。
はい、一度深呼吸!スーハースーハー』
電話口で、詩織に促され『スーハー、スーハー』
と深呼吸する桜奈。
『落ち着いた?』
『うん、少し。あのね、しぃちゃん。
今日、家康さんに会ってね。それでね、それで
お付き合いする事になった!家康さんの
彼女になったんだよ私!!』
(はいはい、彼女ね。そうよね付き合うのは
どうしたって無理な話・・・・!?)
『はぁっー!!?』キーーン。
今度は、詩織の声で耳がキーーンとなり
思わずスマホを耳から離す桜奈。
『何それ?一体なんで?どうなってんの?』
今度は、詩織が興奮した。
(だって、引越し後にバイトきた時は
気を抜いたら、死にそうな顔してたじゃん!
付き合う?誰と?へっ徳永さんと?)
と、頭の中で一気に湧き上がる質問の数々。
湧き上がる勢いが凄すぎて
言語化まで間に合わない詩織は
そう聞くのが精一杯だった。
そう言った後も、溢れだす経緯への疑問。
『うん、それがね。今日引越しの挨拶に
小田先生とくる予定だったんだけど・・』
小田先生と言う言葉で、無意識に
ジャケットに視線を送る詩織。