第23章 〜鴛鴦の契り〜
『桜奈、初めて会った瞬間から、ずっと
君が好きだ。だから、俺の彼女になってよ。
俺と付き合って欲しい・・・この先も
ずっと桜奈と一緒にいたい・・・』
『えっ?』と、驚く桜奈。
(何言ってるの?小夏さんとはどうするの?)
家康が何を言っているのか、飲み込めない
桜奈。
『婚約してるのに、なんで・・そんなこと・・』
『うん、昨日まではね。
でも、もう大丈夫。
小夏がずっと待ってた人が
小夏を迎えにきたんだ。
だから、俺の役目は終わり。
俺は、桜奈が願ってくれたみたいに
俺の幸せの為に、今日は桜奈を
迎えにきた・・』
『小夏さんが待ってた人?
役目は終わり・・?迎え・・・』
(何が、どうなってるの?)
『そう、小夏はその人と幸せになるよ。
だから、俺も安心して自分の幸せを
手に入れる為に桜奈を迎えにきた。
桜奈は俺の幸せ願ってくれるんでしょ?
俺は、桜奈と一緒にいる時が
何より、幸せなんだけどな・・・
桜奈は、俺と一緒は、もうイヤ?』
ニヤッとしながら相変わらず
ズルい言い方をする家康。
信じられなと言う表情で目を見開く桜奈。
けれど、そこには意地悪な言い方はしても
変わらず優しい家康の笑顔がある。
嘘でも、揶揄いでもなく
真っ直ぐに自分を見つめる
翡翠色の優しい眼差し。
『返事は・・・?』少し不安そうな
表情をする家康に
(夢じゃないよね?家康さんと
これからも一緒にいていいの?)
込み上げてくる喜びに飛び上がりたいほど
嬉しくなる桜奈だったが
日頃の仕返しとはがりにわざとツンとして
『仕方ないですね。家康さんが幸せに
なれるなら、一緒にいてあげます!』
と、涙をぬぐいながら、嬉しそうに
満面の笑みを見せる桜奈。