第23章 〜鴛鴦の契り〜
振られることは、分かっていたはずだった。
それでも5日間、必死に耐えていたのに
人の気も知らないで、他に大切に想う人が
いるくせに・・・なんでまた、易々と距離を
縮めてくるのか・・なんで、他人として
バッサリと突き放してくれないのか・・
心をかき乱されたくない・・・
色んな思いが巡り、そのうちにだんだんと
腹が立ってきた桜奈は
肩から家康の手をスッと外すし向き合うと
『家康さん、誤解されますよ。
私は、彼女でもなんでもないです。
誰かに見られて誤解されそうなことも
私が勘違いしたくなるようなことは
もう、しないで下さい。』
射るような真剣な眼差しで
そう話す桜奈。
そう言う桜奈を悲しそうな
顔で見つめ返す家康は、突然
『いやだ!』そう言って、今度は
桜奈をぎゅーっと抱きしめた。
(いやだ、離したくない・・・)
『ちょっ、家康さん!何してるんですか。
誰かに見られたら、誤解されますよ!』
家康の腕の中で、ジタバタしながら
何とか自分から家康を引き剥がそうと
する桜奈だったが、家康は
苦しそうな表情を浮かべながら
更に強く抱きしめ、桜奈は
身動きが全く取れない。
それどころか、力いっぱい抱きしめている
はずの家康の方が、怯える仔犬のように
ぷるぷると小刻みに震えていた。
『家康さん・・・?』
『桜奈は、俺がいなくても平気?
俺は、桜奈に会えなくて、死にそう
だった・・・』
(桜奈は、寂しくなかったのかよ?)
桜奈の耳に頬をすり寄せ
自分の腕の中に桜奈がいることに
安心する家康。