第23章 〜鴛鴦の契り〜
波打ち際を歩く家康と桜奈。
無言で歩く二人に、思いの外大きな波が
押し寄せた。
ザザッー
『濡れるよ、早くこっちに』と肩を抱き寄せ
桜奈を引き寄せる家康。
『わっ、危なかった』と驚きながら
肩に触れられた部分が熱をもち
スイッチが入ったように
ドッドッドと心臓は、高鳴り出す。
これ以上、触れられていたら
肩から鼓動が家康の手のひらへと
伝わってしまいそうで
『も、もう大丈夫ですよ。
ありがとうございました』と
遠回しに、肩から手を離してもらうように
促す桜奈。
『うん・・・』そう言ったが
一度、触れてしまったら離し難くなって
しまった家康は、気づかない振りをし
『寒くない?』と尋ねた。
夕暮れ時の海の風は
確かに、少しひんやりしていたが
ドキドキする心臓で、全身が熱くなって
行くのを感じていた桜奈は
『だ、大丈夫です・・・///』
と答えるのがやっとだった。
『寒かったら、戻るから言って・・・』
と言いいながら、肩から手を離す気配はない。
(困ったな・・・先生だっているし
誰が見てるか分かんないのに・・・
誤解されたら、家康さんだって困るよ)
彼女でもない自分が
肩を組まれで歩くことに、罪悪感を覚える桜奈。
今までは、言われるがまま、深く考える
こともせずに呑気に手を繋いだり
抱きしめられて、嬉しいと思ったりしていた。
だが、思いは通じ合っていても
家康が選んだのは、小夏の方。
自分との関係は終わった。
私は、振られた側なのだ。