第23章 〜鴛鴦の契り〜
向き合ったまま、複雑な胸中を
互いに抱え、押し黙る二人。
やがて家康が
『兄貴が車で待ってるんだ
ちょっと、ドライブに付き合って
もらっていい?』
コクッと小さく頷いた桜奈は
家康の後をついていった。
車に乗り込むと信長が
『付き合わせて、申し訳ないね。
夕飯を食べてから、送り届けると
ご両親には了解を頂いてる。
もちろん、話が終わって帰りたい時は
遠慮なくいって、ちゃんと送るから。
じゃ、出発しようか。』
そう言って、車を発進させた。
(話って、なんだろう・・・)
桜奈が、そう思っていると
信長が
『弟が世話になったね。上杉家の皆さんに
良くしてもらったみたいで、感謝するよ』
『いえ、お世話になったのは私の方です。
家康さんには、色々と助けて頂きました。
勉強もしっかり、教えていただいたり
お姉ちゃんが倒れた時も助けてもらったり
家康さんに助けてもらってばかりでした。』
(いつの間にか、なくては
ならない人になってた・・)
『そうか。お役に立ってたなら良かった。
なぁ、家康』ニヤッとしながら
助手席の家康をチラ見る信長に
『そうだね・・役に立ててたならね』と
素っ気なく答える家康。
『桜奈さんは、高校卒業後してからの
進路はどうするか考えてる?』と信長に
尋ねられ
『あっ、はい。
一応、進学しようと思ってます』
『将来の夢とかあるの?』
『私は、スイーツが大好きなので
パティシエを目指そうかなって、思ってます』
『へぇそうなんだ。
じゃ、桜奈さんのスイーツを
食べられる日をたのしみにしておくよ。
俺も、甘いもの嫌いじゃなくてね。
さっきも、バイト先でパンケーキ頂いたよ。
なかなか、美味かったよ』