第23章 〜鴛鴦の契り〜
席まで、案内した桜奈は
『こちらのお席にどうぞ』と促した。
席につく、家康と信長。
『お水とおしぼり、おもちしますね。』と
その場を離れようとすると
『桜奈、今日何時までバイト?』と
家康が訪ねてきた。
家康は、何事もなかったように
普通に見えた。
自分だけが、何日も引きずっている
だけだと思ったら、無性に寂しい気がした。
(家康さん、普通だな。もう、きっと
気持ち切り替えて、終わったことに
なってるんだろうな・・・)
湧き上がって来る、寂しさなのか
悲しさなのか分からないものが
桜奈の心を覆って行く。
複雑な思いを隠すように
困ったような笑みを浮かべながら
『今日は、4時までです。』
(なんか、数日会ってないだけなのに
痩せた?やつれた?)改めて桜奈の
顔をよくみると、疲れて覇気の表情に見え
だんだん心配になってくる家康。
『何か、顔色悪いよ。体調悪い?』と
尋ねたが
『えっ、平気ですよ?ちょっと夏バテ
気味なのかな?全然問題なしです!』
と、無理に笑う姿に、また辛いことを
隠していると察した家康は
『本当に大丈夫なの?』と
桜奈に言葉で詰めよったが
やりとりを見ていた、信長が
『家康、仕事の邪魔してるぞ。
その辺にしておけ。
桜奈さん、申し訳ない。
ちょっと話があるので、バイトが終わったら
付き合って頂けないかな?』と
家康を宥めながら、桜奈に尋ねた。