第23章 〜鴛鴦の契り〜
幸紫の仕事ぶりを観察しつつ
(ふーん、楽しそうにやってるみたいだな
コーヒーもこれも美味しいし
店員さんも可愛いしなかなか
いい店だな・・)
幸紫の元気な姿に安心する信玄。
カウンターに戻った幸紫。
まどろっこしいことが苦手で
いつも、直球勝負のような性格で
正直、桜奈のように
女の子らしい子は苦手だと思っていた。
しかし、一緒に働いていくと
真面目で、芯の強い子だと感じる
ようになり気になり出した。
直球勝負の幸紫も桜奈に
失恋でもしたのか?と聞くのは
さすがに、憚らられた。
(失恋・・失恋なのか?
だからあんな空虚な顔して
心ここにあらずになるのか?)
信玄に言われた一言を改めて考え悶々と
し始めた。
『幸先輩、3番にブレンド二つ
注文はいりました』と言ったが
考えごとをしているようで
返事がなかった。
『幸先輩?』とまた桜奈が声を
かけると、ハッとし『えっ?何?』と
我に返った。
『3番にブレンド二つです』
『お、おう、了解!』と
コーヒーを入れていると
また、客が入店してきた。
桜奈が出迎えようと
『いらっしゃっ・・・!!!』
と、客の顔をみて固まる桜奈。
『桜奈・・元気だった?』と
家康と信長が入店してきたのだった。
『あっ・・・はい!元気です。
いらっしゃいませ。
2名さまでよろしかったでしょうか?
ご案内致しますのでこちらにどうぞ』
と二人を案内する桜奈は
動揺していた。
(なんで?うちからの帰り?
会わないようにしてたのに・・・
なんで、来ちゃうかな・・・)