第23章 〜鴛鴦の契り〜
初対面の客に、心を見透かされたようなことを
言われた桜奈は、驚くとともに
困惑した表情になる。
そこに幸紫がきて
『おーい!いくら信兄が、たらしでも
高校生ナンパしたら、捕まるぞ!』
『酷いなー、幸。さっきは叔父さんとか
呼ぶし、人をおっさん扱いし過ぎ。
これでもまだ、30前だよ。
幸の実の兄でも充分通る歳だよ・・・』
『あ、あの・・・///』と言って、視線を
握られた手元に移す桜奈。
『ああ、ごめん、ごめん。どさくさに
紛れて、手握ったままだったね。
可愛くてついね。あっ、でも、辛そうに
見えたのは本当だよ。何か辛いことが
あるならお兄さんが相談のるよ』
と言って、優しい微笑みを浮かべるが
しかし、手を離す気配がない。
『だからー、それがナンパだって言ってんの!』
そう言うと、桜奈の手から信玄の手を
べりっと引き剥がす幸紫は
『悪りぃな、上杉。この人、俺の
叔父さんなんだ。手が早いから気をつけて』
『こらこら、幸。色々と失礼な紹介の
仕方しない。
心外だなぁ。女性は優しくしなきゃ。
僕は、それを実践してるだけだから。
初めまして、幸の叔父の武田です。』
幸紫と信玄のやりとりを、みながら
クスッしながら、桜奈は
『初めまして、上杉です。幸先輩には
いつもお世話になってます。
どうぞ、ごゆっくり。』
とペコリと頭を下げ
カウンターに戻っていった。