第23章 〜鴛鴦の契り〜
『気持ちが通じ合ってる・・・か。』
(政宗の性格を知っているだけだよ・・
そりゃあ、幼馴染だしね。
でも、アイツが何を考えてるかは
全然分かんないんだよ、私も・・)
焼肉パーティーの後、酔い潰れて
政宗の家に、泊まった愛花。
お見合いの話を朝食を取りながら
思い切って伝えると、不機嫌を通り越して
『愛ちゃんには関係ない話だろ、それ。
親父に頼まれたからって
そんな話、愛ちゃんにだけは、されたくない
ほっといてくれ!』と、珍しく声を
荒げ、ムッとした政宗。
そのあとは、何事もない様子で接してくる
政宗だったが愛花自身は
どこか距離を勝手に感じて
気まずい気持ちを抱えたままだった。
(おじさんに説得してってたのまれたけど
幼馴染だからって、そんな将来に関わる話に
首突っ込むべきじゃなかったよなぁ・・・)
『はぁー』とため息をつきながら、事務処理に
取り掛かる愛花。
叶わない想いを抱えているのは愛花も
一緒だった。それだけに桜奈の気持ちを
考えると、酔って余計な事を言った事が
悔やまれ、それにも罪悪感を抱えていたのだ。
『はっー』また、ため息をつくが
仕事の手は、ちっとも進まなかった。
一方、仕事に戻った桜奈。
『おっ!いいとこに戻ってきた。
桜奈、5番にこれ運んでー』と政宗。
『はい。了解です』
そう言うと、焼きたてのパンケーキを運ぶ桜奈。
『お待たせ致しました。
パンケーキでございます』
そう言って、パンケーキの皿をそっと置くと
パッと手を掴まれた。
えっ?と驚く桜奈に
『ねぇ、君、大丈夫?とても悲しそうな
顔してるよ?心が泣いてるみたいだよ』
そう、声をかけてきたのは信玄だった。