第23章 〜鴛鴦の契り〜
『はっ・・・ハハハ。店長!今日も
大変、お美しくて・・・
じゃ、俺は、仕事に行きまーす!』と
引きつった顔をしながら
愛花の横をピューッとすり抜け
避難する政宗。
『こら!まてっ!』と手を振り上げ
振り返ったが
『はっー、誰がブラック鬼店長だよ。
全く、あいつは・・・』
ため息混じりで、逃げられたと言う顔を
する愛花をみて、ふふふっと笑う桜奈は
『相変わらず、仲良しですよね』と
微笑ましい表情をしていた。
『どこが!私、そんなにあいつを
こき使ってるかしらね?そんなつもり
ないんだけど』こき使われて
俺は可愛そうと言う
政宗の言葉を鵜呑みにし、悩む愛花に
『店長がこき使ってるんじゃなくて
政宗さんが、進んでこき使われてるように
見えますけどね?店長を助けたい、役に立ちたい
って感じがしますよ?私にはそう見えます。』
『えー、そんなことないでしょ?
御曹司だから、好きかってに動いてる
感じでしょ?』と桜奈の見立てを疑問視
したが
『政宗さんの視線の先に、いつも店長が
いますよ。何か困ってないか?手伝えないか?
ってアンテナ立ててる気がします。
みんなにも、もちろん優しいし、頼り甲斐が
ある人ですけど、その中でも店長は政宗さんには
『特別』な人なんだって感じますよ。
幼馴染だからですかね?』
恋愛経験値の少なさで
政宗と愛花の間にあるのが
恋心だとは分からない桜奈。
けれど、分からなくても
本質は無自覚に捉えてしまう。
『うーん、まぁそうなのかもね・・
(そんなに、私を見てるのかな?
はっ!もしや、店長としての仕事ぶりを
チェックしてる?)』