第23章 〜鴛鴦の契り〜
『うっま!やっぱり愛ちゃんのパンケーキ
プロの味だわー、さすがだ。
でも俺の作った方が、より美味いけどな。』
『えー、プロにそんな事言っていいんですか?
店長に、怒られちゃいますよ?
私は、店長のパンケーキも政宗さんの
パンケーキもどっちも大好きで
甲乙つけがたいですけど』
桜奈がそう言っている間にも
パクパクとパンケーキを頬張る政宗は
あっと言う間に完食した。
『はぁー、美味かったー!ごちそうさん。
よし、じゃ仕事行くわ。ついでにこれ
片しとくよ。』
『あっ、いいですよ。私も休憩もう
終わりですから!』
『ん?何時から休憩入ったの?』
『えっと、30分からです。』
『なんだよ。
あと、10分も残ってんじゃんか!
時間までちゃんと休めー・・
うちの会社はブラックじゃないし・・』
その言葉を聞いて、ぷっと吹き出す桜奈
『それ、店長もいってました。
労基に叱られるから休んでって
うちは、ブラック企業じゃないからって』
『確かに、親父の会社はブラックじゃ
ないけどさ、愛ちゃんは
確実にブラック鬼店長だよなぁ。
俺のことは、こき使いたい放題たし。
よくよく考えたら、俺って可愛いそうだと
思わない?』
と言ったが、何かに気づいた桜奈が
あわあわし始め、視線は自分ではなく
後ろの方を捉えているように見えた。
ハッと、殺気を感じた政宗。
恐る恐る振りむくと
『あらぁー、政宗君。出勤お疲れ様ー!
何かいま、ブラック?で鬼?とか聞こえ
たんだけどー、いったい誰の話かなー?
良かったら私にも教えて欲しいんだけどなー?』
と全く笑っていない目のまま
ニコニコ顔全開。しかし、こめかみには
青筋をたてた、愛花が立っていた。